2016年の熊本地震で被災した中小企業に対する公的な融資事業を巡り、財源となった約142億円のうち約9億円が企業側からの申請期間を経過して余ったにもかかわらず、融資の窓口となった財団法人に約2年間も放置されていたのだそうで、融資元の国は、会計検査院から多額の国費が法人に残っているのは不適切だと指摘され、今年5月に全額の返還を受けました。
この事業は、熊本地震で施設や設備が被災した中小企業に無利子の融資を行い、再建を支援するというもので、具体的には、中小企業庁が所管する「中小企業基盤整備機構」が熊本県に約140億円貸し付け、同県が一部を上乗せした計約142億円を公益財団法人「くまもと産業支援財団」を通じて企業側に融資していました。
この融資は20年度末に申請期間が終了し、約250件に対して計約133億円の支出が決定したのですが、どうやら余った約9億円は法人に残されたまま、機構が返還を求めることもなく、検査院の指摘を受けて今年5月に同県から返還されるまで、約2年間にわたり放置されていたのだとか。
大規模災害で被災するなどした企業への公的支援を巡っては、今回以外でも余った財源の放置が発生していて、2011年の東京電力福島第一原発事故で、中小企業基盤整備機構は、移転を余儀なくされた地元企業に対し、福島県を通じて融資事業を実施し、財源として約393億円を用意したのですが、21年度までに使われたのは約4割の約153億円となっており、この事業について調べた検査院は昨年、余った分のうち約217億円については、今後の資金需要を考慮しても使われる見込みがないとして、国側に返還させるよう求めた。
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