経営再建中の大手部品メーカーのマレリホールディングスが、東京地裁での債権者集会で、親会社の米国投資ファンドKKRによる追加出資や金融機関の債権放棄などの事業再生計画が可決・認可されたと発表しました。
計画について90%を上回る債権者から同意を得たようで、8月上旬に計画の認可が正式に確定するようで、計画の詳細は明らかになっていないものの、組織と人員体制の見直しや、コスト競争力強化、人とイノベーションへの投資が中心になるようです。
国内についてはこれ以上の工場閉鎖や人員削減の計画はないとしており、その一方、工場閉鎖や人員削減などの競争力を強化するためのコスト削減の取り組みによってグローバル5億ドル(約700億円)のコスト削減の効果が見込めるプロジェクトを推進しているようです。
マレリのデビッド・スランプ社長兼CEOは「事業の簡素化や市場でのリーダーシップ構築のための投資、イノベーションと開発における顧客との連携、業務効率改善などを通じて再生計画の実行に注力できるようになった」とコメントしています。
そもそもマレリは、リストラの遅れや日産自動車などの減産影響から業績不振が続き、負債総額が1兆1千億円を超え経営が行き詰まり、今年3月に私的整理の一つである事業再生ADR(裁判外紛争解決手続き)を申請したものの、一部金融機関が反対して不成立となり、法的整理の「簡易型」での再生手続きに入っていました。
事業再生ADRから簡易再生手続きとなったのは初めてとなるようで、今回の再建計画が認められ、財務を中心に改善が見込めるとはいえ、事業そのものが好転しなければ、再び厳しい状況に追い込まれる可能性もあります。